種子油ではない油はどれか:分類の一覧
オリーブオイル、アボカドオイル、パーム油、ココナッツオイルは種子油ではありません。身近な食用油を原料の部位ごとに分類し、議論の分かれる油も整理します。
種子油ではない油
オリーブオイル、アボカドオイル、パーム油は種子油ではありません。いずれも果実の果肉から搾った油で、種から搾ったものではないからです。ココナッツオイル、くるみ油やアーモンド油といった木の実の油、そしてバター、ラード、牛脂などの動物性脂肪も、ふつうの使われ方でいう「種子油」からは外れます。落花生油も、多くのリストには入っていません。
ただし前提がひとつあります。「種子油」は植物学の用語でも、法律上の区分でもありません。種子油という分類を定義している食品当局はどこにもなく、何が含まれるかの決まりも、表示の義務もありません。日常語としてのまとまりであって、植物のどの部分から取れたかよりも、どう搾られ、どれくらいの量が食べられているかを映しています。だからリストごとに中身が食い違い、下の表にも「議論あり」と書かざるをえない油がいくつも出てきます。
よく出回るリストは八つを挙げます。なたね(キャノーラ)、とうもろこし、綿実、大豆、ひまわり、紅花、ぶどう種子、こめ油です。植物学の本と突き合わせると、このリストは両端から崩れていきます。
身近な食用油の分類
「原料の部位」は植物学上の話で、「種子油か」は世間での扱いです。
| 油 | 原料の部位 | 種子油か | 理由 |
|---|---|---|---|
| 大豆油 | マメ科の種子 | はい | 典型例。大規模栽培、溶剤抽出、リノール酸が多い |
| なたね油 | 種子 | はい | 種子そのもの。精製されるが脂肪酸は一価不飽和が中心 |
| ひまわり油 | 乾いた果実の中の種子 | はい | ハイリノール型とハイオレイック型があり、見分けにくい |
| 紅花油 | 種子 | はい | ハイリノール型はオメガ6がもっとも多い油 |
| とうもろこし油 | 穀粒の胚芽 | 慣習上はい | 穀物の一部であって種子ではないが、必ずリストに載る |
| 綿実油 | 種子 | はい | 種子そのもの。繊維作物の副産物 |
| ぶどう種子油 | 果実の種子 | はい(議論あり) | 文字どおり種子。ワインの副産物という理由で擁護される |
| こめ油 | 穀粒のぬかと胚芽 | 議論あり | 穀物の外層が原料で、種子と呼ぶ人は少ない |
| ごま油 | 種子 | 議論あり | 伝統的で未精製のものが多く、小さじ単位で使う |
| 落花生油 | マメ科の種子 | 議論あり | 大豆と同じ構造。ナッツと呼ぶために外されやすい |
| あまに油、えごま油、麻の実油 | 種子 | 文字どおりはい、リストには載らない | 低温圧搾、小瓶、揚げ物には使わない |
| くるみ油、アーモンド油 | 核果の中の種子 | 慣習上いいえ | 木の実として扱われる。くるみ油のリノール酸は大豆油並み |
| オリーブオイル | 果肉 | いいえ | 果肉を搾る。種は使わない |
| アボカドオイル | 果肉 | いいえ | 果肉から搾る |
| パーム油 | 果肉 | いいえ | アブラヤシの果実の、オレンジ色の果肉から |
| パーム核油 | 種子 | 植物学上はい、リストには載らない | 同じ果実の種子だが飽和脂肪酸が多い |
| ココナッツオイル | 核果の中の、種子の組織 | 植物学上はい、リストには載らない | オリーブオイルより種子油に近いのに、そう分類されない |
| バター、ラード、牛脂 | 動物 | いいえ | 植物油ではない |
分類は植物学に沿っていない
どのリストでも先頭に来る大豆油は、マメ科の種子から搾ります。除外されがちな落花生と、構造はまったく同じです。とうもろこし油は穀粒の胚芽から、こめ油は同じ穀粒の外層から搾ったもので、どちらも一般に「種」と呼ぶものではありません。ひまわりも厳密ではなく、袋に入っているのは種子ひとつを含む乾いた果実で、殻の内側が種子にあたります。
逆方向にも漏れがあります。あまに油、えごま油、麻の実油、かぼちゃ種子油は、文字どおり読めばすべて種子油ですが、批判の対象になることはほとんどありません。アーモンド油は核果の中の種子から搾ったもので、ココナッツと同じ構造です。カカオバターも種子から搾った脂です。
こうした矛盾は、この分類が無意味だという話ではありません。植物の構造とは別の基準でできた分類だということであり、その基準が何かを言葉にできれば、それがそのまま答えになります。
果肉から搾る油が別枠になる理由
オリーブ、アボカド、パームの三つは、いちばん分かりやすい例です。共通しているのは搾り方で、油が果実の柔らかい部分にあるため、砕いて練って遠心分離するだけで、溶剤を使わずに取り出せます。エクストラバージンオリーブオイルは、いわば果肉の搾り汁です。
境目がはっきり見えるのはアブラヤシです。ひとつの果実から二種類の油が取れ、果肉からはパーム油、内側の種子からはパーム核油ができます。パーム核油は文字どおりの種子油ですが、飽和脂肪酸が多く、批判リストに載ることはありません。ココナッツも同じで、白い胚乳は核果の中の種子の組織です。
これらの油を八つと分けている実質的な違いは、脂肪酸の組成です。オリーブとアボカドは一価不飽和脂肪酸が中心、ココナッツとパームは飽和脂肪酸が中心で、いずれもリノール酸は多くありません。数値は油ごとのオメガ6一覧表にまとめてあります。
議論が分かれる四つの油
ごま油は定義上まぎれもなく種子油ですが、そう扱われることはまずありません。香りづけとして小さじ単位で使われ、未精製のものが多く、長い食文化の蓄積があります。除外の理由は化学ではなく文化にあります。
ぶどう種子油も明確に種子油で、ワインづくりの副産物だからと擁護されることがあります。副産物かどうかとは別に、リノール酸の割合は市販の油の中でも高い部類です。
こめ油は精米のときに削られる部分が原料です。穀粒のどこまでを種子とみなすかで結論が変わり、そのため扱いが割れます。天ぷらに使われることが多く、日本では実際の量として意味を持ちます。
落花生油がいちばん鋭い例です。落花生はマメ科の種子で、大豆と構造は同じですが、ナッツと呼ばれているという言葉の都合だけで、多くのリストから外れています。
リストが実際に見ているもの
植物学をいったん脇に置くと、分類のほとんどを説明する特徴が四つ残ります。工業的な規模で、多くは溶剤で抽出し、精製・脱色・脱臭を経ていること。リノール酸が多いこと。安価な大量作物で、外食の揚げ油や加工食品を占めていること。そして広く使われるようになったのが比較的最近で、平均的な食事に占める量が一世紀のあいだに大きく変わったことです。
これは筋の通った定義ですが、「種」という言葉が想像させる定義ではありません。そして、この四つに当てはまるからといって体に悪いということにはなりません。そちらは別の問いで、いまも決着していません。どの食用油が炎症と関係するかでは試験と追跡調査の結果を、種子油への批判の検証では個々の主張を順に見ています。
表示では分からないこと
日本の食品表示法では「植物油脂」という一括名が認められています。そのため加工食品の原材料名を見ても、なたね油なのかパーム油なのか大豆油なのかが分からない場合があります。家庭で使う「サラダ油」も原料が一種類とは限らず、なたねと大豆の調合が一般的です。
一方で、落花生とごまはアレルギー表示の対象に含まれるため、原材料名に個別に書かれることが多くなっています。つまり日本の表示では、除外されがちな二つのほうがかえって見えやすく、リストの中心にあるパーム油や大豆油のほうが「植物油脂」に隠れやすい、という逆転が起きています。EUのように具体的な植物名の表示を求める国と比べると、この差ははっきりしています。
外食では表示そのものがなく、量としてはそこがいちばん大きいことも少なくありません。外食で種子油を避ける方法にまとめています。
線引きが気になる場合は
定義がはっきりすると、次に意味を持つのは「どちらの分類か」ではなく「どれくらい食べているか」です。小さじ一杯のごま油と、揚げ物が吸った油とでは、同じ量にはなりません。揚げ物と加工食品に量が集中しているので、変えるなら効果が見えやすいのもそこです。
それが体調と結びつくかどうかは、自分の記録でしか確かめられません。NutriAIはそのためのアプリです。食事を撮影すると炎症の起こりやすさの推定評価が出て、そのあとの症状を記録していくと、数週間のうちに関係のありそうなパターンが見えてくることがあります。正直に言っておきたい限界が二つあります。加えられた油は、写真から推定するのがもっとも難しい要素です。吸収されて見えなくなり、調理場によって量も変わるからです。そしてアプリが示すパターンはあなたの記録の中の相関であって、診断ではありません。医療機器ではないので、続く不調は医師や管理栄養士に相談してください。
この記事の根拠
- 食用植物における果実・核果・豆・穀粒・種子の構造に関する植物学の文献
- 食用油の脂肪酸組成を掲載した公的および学術的な食品成分データベース
- 圧搾、溶剤抽出、精製・脱色・脱臭など製油工程に関する技術文献
- 日本の食品表示法およびEUの食品表示規則における、油脂の原材料名表示に関する規定
- 個々の植物油を名称ごとに定めた国際的な規格。種子油という分類は設けていない
よくある質問
- オリーブオイルは種子油ですか。
- 違います。オリーブの果肉を搾った油で、種は使いません。脂肪酸の中心もリノール酸ではなく一価不飽和脂肪酸なので、原料の部位から見ても組成から見ても、種子油の枠には入りません。
- ココナッツオイルは種子油ですか。
- 一般的な使われ方では種子油に含めませんが、植物学的には微妙です。ココナッツは核果で、搾る白い部分は種子の組織にあたるため、厳密にはオリーブオイルより種子油に近いことになります。それでもリストに載らないのは、ほとんどが飽和脂肪酸でリノール酸が少ないためです。
- 落花生油は種子油ですか。
- リストによります。落花生はマメ科の種子で、大豆とまったく同じ構造なので、文字どおりに読めば種子油です。多くのリストが外しているのは、ナッツと呼ばれているからで、植物の構造による区別ではありません。
- 「植物油脂」と書かれていたら何が入っていますか。
- 表示だけでは特定できない場合があります。食品表示法では一括名としての「植物油脂」が認められているため、なたね油、大豆油、パーム油などが個別に書かれないことがあります。落花生とごまはアレルギー表示の対象なので、こちらは名前が出ていることが多いです。
- 種子油という区分に公式な定義はありますか。
- ありません。食品の規格は個々の植物油を名前ごとに定義していますが、種子油という分類そのものを定めた当局はなく、表示を求める規定もありません。どのリストを読むかで答えが変わるのは、そのためです。